観たメモ
小三治独演会
- 「湯屋番」(三三)/いい口調だなあと思う。前座としての出演だったのでメクリをめくったり座布団をひっくりかえしたり湯飲みを持ってきたりしていたのだが、照れくさそうだった。
- 「厄払い」(小三治)/マクラが「甲府い」のときと同じ中津(福沢諭吉の出身地)のことと、さらに中津の名物であるフグの話だったこともあって、「甲府い」か「らくだ」かしらと思ったら「厄払い」。与太郎のニコッと笑う歯が好きだ。状況の中で不適応な人間であったとしても、ニコッと笑っていたいものだなあとしみじみ思っていると、小三治の声がでなくなって咳き込んだ。これが現実だし、これが今日の小三治。
- 「死神」(小三治)/マクラはほとんどなし。死神のボソボソと話す話し方だと喉の調子の悪さが目立ってしまって、威勢のいい役なら隠せたのにと思うと、なんで「死神」をやったんだろうか。オレ(客)と小三治の関係は非対称だ。オレがいてもいなくても小三治は小三治で、逆に小三治がいなければオレ(客)の存在意義がなく、今日は特に寂しく思った。オレがいてもいなくても声が出ない小三治という人間に満足するのは単なる自己投影なのかもしれないけど、自然の一部になろうとしている人を興味深くしつこく見続けてやろうという意地悪な気持ちもあるし――、混乱してきたんでそれはそれでいいやと思っておく。
部室のノートにだいたいの感想は書いたけど、もう一度書いてみた。