読んだメモ

  • ラクゴ無頼語録」(大西信行)を読む。コ金治が俳優になったことを「もったいない」とシん朝と並べて憂うのはYM先生や小沢昭一とかも言っていることで、でも、YM先生も小沢も今のコ金治の噺に肯定的で、だからなんか今度聴いてみようかしらと興味を持った。あと、印象深いのは、噺にとって大事なものは言葉や部分的な理屈のコダワリではなく(無視はダメだけど)、作品全体だ、というようなことを書いていたこと。コダワリが作品全体に跳ね返らないと、コアなファンはそれを確認して喜ぶかもしれないけど、映画とか絵画とか音楽とか他の芸術に勝てないようなローカルな芸になってしまうのかも。あと、シん朝が、売春禁止法が施行された晩に女たちの身の振り方を思いやるあまり「涙が出てきてしかたなかったんだなぁ」と言ったらしい。シん朝は、女郎を演じる才能を元々持ち合わせているというか豊かな情感を持っているということや、コ三治とコさんが一緒にいても会話をしないで過ごす時間のことなど、面白く読んだ。ちなみに、これはおととい古本屋で買った本。