観たメモ

末広亭夜席

  1. シモン(俗曲)
  2. センキョウ(道具屋)/何言っているか分からないフニャフニャの独り言みたい。値打ちだ。高田文夫タバコタイム。オレと好みが違うのかなあって思う。
  3. エンジョウ(きんさんぎんさんの話)/濃い。
  4. ユウヘイカオリ(漫才)/聞くのタイヘン。
  5. カルタ(漫談、カッポレ)/聞くのタイヘン。高田文夫タバコタイム。好み似ているかもとも思う。
  6. エンギク(錦の袈裟)/元気だ。この噺、生で聞いたの初めて。
  7. キンダユウ(替わり目)
  8. コユキ(曲芸)
  9. センユウ(漫談)/すごく短くまとめた。この人声がカッコいいって思う。
  10. 小沢昭一(随談)/昔大勢いた流しの芸人について。きのうも書いたけど客席は前のめり。これが小沢昭一が憧れていた寄席、大好きな寄席の姿なんだろうなあ。小沢の作品は随談ではなく、この空間(寄席)なんだと思う。オレも作品の一部、寄席の一部。今日は、小沢の憧れていた「寄席芸人」としては最後の日。その持ち時間、最後はやっぱりハーモニカで。京都で出会った流しの夫婦(旦那は盲目、妻は子を負ぶっていたそうだ)が歌ってくれた曲を吹いた。この流しと出会った感動が、のちの放浪芸収集のキッカケになったんだそうだ。その「キッカケ」を最後の最後に吹いて、そのおかしいような寂しいような余韻の中、サラリと手を振って消えていった小沢。サラリと。「永久にさようなら」。惜しい。行かないで。戻ってきて。
  11. ショウラク紙切り)/時間オーバー。切る枚数も多い。声の出ないコサンジに頼まれて時間をオーバーしたんだと、コサンジのマクラで知る。
  12. コサンジ(小言念仏)/酔って朝帰ってシャワーを浴びながらきのうの寄席のことを思い出していたら、涙が出そうになった。あれは奇跡の空間だったんだ。コサンジは舞台に上がると何も言わずにニコッと笑ってお茶をすする。お茶をすするだけ。そして、マイクに顔を近づけ、きのう起きると声が全く出なくなっていたこと、だからきのうの朝から声を出さないように心がけていたこと、もし聞き苦しいところがあったら許してほしいことなど、お詫びを言った。オレは聞き苦しいなんて思わなかったけど。そして、小沢昭一のこと。サラッと舞台から去るところなんて「江戸っ子というより東京人ですなあ」。コサンジは小沢から学んだことをつらつらと語っていく。「あの方はホントに寄席の好きな人だ!」。「小沢さんは噺家になりたかった人」で「寄席に出ると本当に嬉しそうな顔をする」。「アタクシも寄席はいいもんだなあって、小沢さんの話を伺いながら思いました」。オレも寄席が好きだよって心の中で言ってみた。コサンジいわく、小沢は両親から「昭一っつぁん昭一っつぁん」ってかわいがられて育った人で、一方のコサンジは「親を困らせるために噺家になった」人。「違いますなあ」。「子供はかわいい、かわいいって育てられた方がいいんだよ、きっと」。今朝、声を出さないように心がけていたのに、二ヶ月になる孫をあやしていたら、思わず「ばぁ」とか「ぶぅ」とか言ってしまっていたというコサンジ。「子供はかわいいよ。かわいいんだよ。うん。オレねぇホントはこんなこと言いたかねぇよ!こんな話しに来たんじゃねぇんだよ!でも、子供はかわいいんだぁ!」って言って、コサンジは手ぬぐいで潤んだ目頭を押さえた。小沢昭一という大切な友達、そして孫へ。愛し愛されるということ。それはもう、あったかくて穏やかな流れだった。落語は小言念仏。客は目をキラキラさせて大笑いしている。這って来る赤ん坊に「ばぁ」って言う場面があって、そのときの優しいコサンジの顔ときたら。客もみーんなニコッとなるんだ。そして噺は終わり、コサンジの「お時間でございます!」(いつもより大きな声)。万雷の拍手。高座を中心に満席の客の手が、寄席を礼賛する紙吹雪のように見えた。降ったなあ、紙吹雪。オレも寄席の紙吹雪。